ホームページ制作で失敗しない提案依頼書の作り方

公開日: 2023.10.04

最終更新日: 2024.07.04

ホームページ制作で失敗しない提案依頼書の作り方

ホームページを制作する際、外部の制作会社などに依頼をするためにRFP(提案依頼書)を作成することがあります。とはいえ、なかなか馴染みがないものでもありどのように作成すればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。

「ホームページの立ち上げやリニューアルにあたって制作会社に依頼する必要があるが、どのように依頼すればいいのかわからない」「現状の課題を解決し、目的を達成できるウェブサイトを作るために制作会社に最適な提案をしてほしい」

このような方に向けて、今回は「そもそもRFP(提案依頼書)はどんなもので、作成する目的は何なのか」、「どのようなポイントを押さえて作成するべきなのか」を解説します。

RFP(提案依頼書)とは

RFP(提案依頼書)は、企業が外部の制作会社やパートナーに対してプロジェクトの提案を依頼するための文書です。RFPを作成して制作会社に提示することで、制作会社からRFPを踏まえた最適な提案をしてもらうことができたり、その後の制作物が当初の目的を反映されたものになったりと、正しい方向性でホームページの制作を行う上で大変重要なものとなります。簡単に言ってしまえば、「プロジェクトについて取りまとめた書面」ということになります。

RFP(提案依頼書)を作成する目的

RFPを作成する1番の理由は、自分たちが行いたいプロジェクトの情報を詳細に伝えることで、製作会社とのズレをなくすことです。

実際はRFPを用意されていないお客様のほうが多いので絶対必要というわけではありませんが、製作会社からより良い提案を受けるために非常に重要だと考えます。

例えば、「今夜の会食のお店を決めておいて」と依頼されたとき、「その会食はどのようなメンバーが参加するのか」「会食の目的は何なのか」「1人あたりの予算感はどのくらいを想定すべきか」「お店のエリアに指定はあるのか」…など、いろいろと考慮すべき点が多々あり、なかなか決めることはできないですよね。

漠然とした依頼からは質の良い成果物は出来上がりにくいものです。前述したポイントを踏まえて、それにマッチするお店を探す方が失敗がないですし、お店選びもスムーズに進みます。RFPはそのような役割を持ったものと捉えていただいてよいでしょう。

RFP(提案依頼書)を作成する前の準備

RFPを作成するには事前準備が必須になります。自社の課題ややりたいことを明確にイメージしてない状態でRFPを作成することは難しいです。下記に紹介する項目を行いましょう。

目的の明確化

サイトをリニューアルすることやシステムを導入することの目的を明確にしましょう。よくある目的としては、

「コーポレートサイトをリニューアルすることで、お問い合わせを増加させたい」

「ECサイトを新規で構築することで売り上げを拡大したい」

「採用サイトをリニューアルし、新卒採用を強化したい」

「受発注システムを導入して、作業効率をあげたい」

などが挙げられるかと思います。このプロジェクトで何を達成したいのかを明確にしましょう。

各部署へのヒアリング

プロジェクトをメインで行う方のみでRFPを作成してしまうと、別の部署の方や別の担当者との意見のすれ違いが起きやすくなり、製作後に大幅な修正を行うことになりかねません。事前に細かい部分まで社内ですり合わせができていると、RFPに具体的かつ実用的な要求を盛り込むことができます。

予算・納期の設定

予算や納期についても、重要な項目になります。「今期の予算が200万だから、それ以内に抑えてほしい」「新商品の発売が10月だから、そこに間に合うように納品してほしい」など、会社によって事情はそれぞれです。

「この機能でいくらまで」「発注時期が7月。納品が10月末」など、詳細に予算や納期を設定できれば理想ですが、最低限プロジェクト全体の予算と最終納期の設定は行いましょう。

要求事項の整理

必要な機能や実施したい要件などを事前に取りまとめましょう。

例えば、「ECサイトに商品ごとのお気に入り機能を実施したい」「お知らせ部分は自社で更新したい」など、細かい内容までリストアップし、社内で整理しましょう。RFPに詳細に要件を記載することで、製作会社が適切な実施方法を提案してくれます。

評価基準の設定

何を最優先するのかを設定しましょう。

納期をマストで守ってくれる会社なのか、コミュニケーションがしっかりとれる会社なのか、発注者側と同業の実績がある会社なのか、それぞれ基準は異なりますので、プロジェクトで何を重視しているのか、提案の評価軸を設定しましょう。

RFP(提案依頼書)に記載する項目

制作会社にホームページ制作の依頼をする場合、RFP(提案依頼書)に記載する項目としては下記が一般的かと思います。

プロジェクトの概要、依頼元の基本情報

プロジェクト発足の背景、現状の課題

プロジェクトで目指す未来(ゴール)

提案依頼範囲

要件

成果物

プロジェクトの予算、スケジュール

各種情報(提案日時、形式、契約形態など)

以下、それぞれの項目についての解説と、制作会社視点でどういった情報があるとお客様に的確な提案ができるかといった観点で説明します。

プロジェクトの概要、依頼元の基本情報

プロジェクトの概要、依頼元の基本情報

まずはじめにプロジェクトの概要と会社の基本的な情報を記載しましょう。制作会社としては、こちらの情報だけでも、どのような傾向のを制作する必要があるのかやお客様の業界、ビジネスモデルに対してホームぺージが果たす役割や必要な要素を理解することができます。

また、制作会社によっては取引・制作にあたっての条件なんかもあるかもしれません。例えば1業界1社との取引を条件としていたり、制作会社がある業界に特化していてその業界のホームページ制作が強みだったり…といった具合です。

RFP(提案依頼書)の冒頭でプロジェクトの概要や依頼元の基本情報が記載されていることは、上記したようにプロジェクトに対して的確な提案をしてくれる制作会社を選定する上で結構重要だったりしますので、こちらは記載するようにしましょう。

プロジェクト発足の背景、現状の課題

次に、プロジェクト発足の背景と現時点での課題を記載しましょう。多くの企業の場合、WEBの分野に精通しているわけではないので事細かに記載するのは難しいかもしれませんが、いただいた情報を基にヒアリングをして本質的な課題をくみ取るのは制作会社の仕事ですので、難しいことは考えずあくまで企業視点での解釈で構いません。

以下のようなポイントを踏まえて記載すると良いと思います。

なぜこのプロジェクトを始める必要があるのか

ホームページ制作プロジェクトを開始する背後にある主な理由を記載しましょう。これにはビジネス目標や戦略的な動機が含まれているとベターです。

例えば、「新しい製品やサービスが開始するにあたって、その訴求を十分に行うための場が必要だから」「採用を強化していくという企業の方針に対して、求職者への情報発信やコミュニケーションの場としてリクルートサイトが必要だから」といった具合です。

プロジェクトの必要性がしっかり固まっていれば、出来上がるホームページもその必要性を十分満たしたものになるでしょう。この部分は制作会社を選定する部署だけで考えるのではなく、他部署にも事前にヒアリングしてプロジェクトを行う理由をRFP(提案依頼書)に落とし込みましょう。

現在のホームぺージに関する課題や問題点

現在のホームページに関する課題や問題点を具体的に列挙します。これから新しくホームページを制作する場合は、現在オンライン上で行っている取組みに対する課題や問題点でも構いません。

ここに記載すべき項目の中には、ユーザーエクスペリエンスの不満、技術的な制約、競合他社との比較、SEOの不備、セキュリティの脆弱性などが含まれます。

よくご相談いただく課題としては

10年以上前にホームページを制作したため、デザインが古くスマートフォンでの閲覧に対応できていない

これまで社内でホームページの管理を行っていたが、担当者が退職してしまいウェブに詳しい人が不在となり、ホームページの管理やセキュリティ対策が行えていない

ホームページで集客が十分にできておらず、競合に顧客を奪われてしまっている

などがあります。

これらの課題の明確なリストをRFP(提案依頼所)記載することで、制作会社は問題を解決するための戦略を立てるのに役立ちます。

この項目では、依頼主がプロジェクトの背後にあるビジョンや目標、現実の課題を正確に伝えることが重要です。制作会社はこれらの情報をもとに、適切なソリューションを提案し、プロジェクトの成功に向けた戦略を構築することができます。また、クリアな問題定義はプロジェクトのスコープを決定し、予算とスケジュールを設定するのにも役立ちます。

プロジェクトで目指す未来(ゴール)

プロジェクトで目指す未来(ゴール)

プロジェクトで目指す未来、つまりプロジェクトのゴールを明確に定義することは、プロジェクトの成功を評価し、方向性を示すためにとてもに重要です。

以下のようなポイントを踏まえて記載していきましょう。

ホームページ制作プロジェクトの具体的な目標

プロジェクトの成功を定量的および定性的な指標で設定しましょう。例えば、ホームページの訪問者数増加、ホームページ経由の売上増加、ユーザーエンゲージメント向上、ブランド認知度向上などが挙げられます。

上場企業のホームページの場合、ゴメスIRサイトランキングのスコアや順位もひとつの指標になると思います。

具体的な数値目標を最初に設定することで、ホームページ制作後にそのプロジェクトが成功したかどうかを判断することができます。また、制作会社視点ではその目標に対してどのような施策を実行すべきかを検討しやすいので、EFP(提案依頼書)のなかにしっかりと明記しましょう。

ターゲットと提供価値の設定

ホームページと通じてどのようなターゲット層にどんな価値(体験)を届けたいのかを具体的に定義しましょう。

例えば、「新卒採用を強化するためにリクルートサイトを制作する」というプロジェクトの場合には、「学生は理系か文系か」「自社のどんなところを学生に訴求したいのか」を決めておくとよいでしょう。

ターゲットと提供価値が定まっていると、それに対して必要なキャッチコピーやサイトデザイン、コンテンツを制作会社から提案することができます。

プロジェクトの戦略的位置づけ

プロジェクトが企業や組織の戦略にどのようにフィットするかを説明しましょう。ホームページがブランド戦略やマーケティング戦略、販売戦略などとどのように関連しているかを示します。

明確な目標と成功の基準を記載することで、制作会社はプロジェクトの方向性を理解し、適切な戦略や提案をすることができます。また、ゴールの明確化はプロジェクト全体の進行と成果評価に貢献する大事な要素のひとつになります。

提案依頼範囲

新しくホームページを制作する際は、制作会社に依頼する具体的な範囲を提示しましょう。具体的に範囲を示すことで、プロジェクトの方向性を確立することができます。

まずはどのようなホームページを制作してほしいかです。ひとえにホームページといってもタイプは様々あります。(コーポレートサイト、採用サイト、ECサイト、ランディングページ(LP)、オウンドメディア、サービスサイト、ブランドサイトetc…)

ホームページのタイプによって、必要なコンテンツや機能、サイトと連動した施策の打ち方が異なります。RFP(提案依頼書)に希望を明記することで、制作会社から的確な提案を受けることができるでしょう。

また、ホームページを全く新しく制作するのか、今あるものを部分的に変更するのか、リニューアルするのかも重要な情報です。この条件で全体の費用感やサーバー、DB(データベース)などのインフラ環境も変わります。判断が難しい場合は、制作会社からの提案で決定するでもよいでしょう。

要件

制作するホームページがどのようなものなることを希望しているのか、しっかりと要件をRFP(提案依頼書)に記載しましょう。

機能要件

機能要件とは、書いて字のごとく「ホームページに必要な機能」のことです。
ホームページの種別にもよりますが、例えばコーポレートサイトだと下記のような機能が必要かと思います。

・サイト内検索機能

・各種フォーム(問い合わせ、資料請求、セミナー申し込みetc…)

・News更新機能

・IR情報更新機能

・管理者権限機能(サイトを管理するシステムを用意する場合)

機能要件は細かく挙げればもっと出てくるのですが、ひとまず日々ホームページを運用していくうえでないと困る機能を列挙していきましょう。その情報をもとに、制作会社側から「○○という機能も必要ではないか。」「この機能は△△で内包しましょう。」など具体的な提案を促すことができます。

非機能要件

機能要件は何となくわかりやすいですが、非機能要件ってなかなか想像つきづらくはないでしょうか?しっかりした定義を知りたい方は別途ググっていただければと思いますが、要するに「機能要件以外のすべての要件」が非機能要件です。

そのため、非機能要件と記載すべき項目はとても多いです。機能要件に比べてイメージしにくいものになりますが、多数ある非機能要件をいくつかに大きく分類することができるので紹介します。

1.可用性

公開したホームページがいついかなる時もしっかりと閲覧することができ、ホームページ上でのサービス提供ができるかという点が可用性になります。

公開されたサイトは様々な要因で閲覧できなくなってしまう可能性があります。「一時的な集中アクセスでサーバーがダウンしてしまった」というのはよくある事例です。外部からの攻撃によってサイトが正常に稼働できなくなることも考えられます。

そういった数々のケースに対してどのような対策を講じるかを決める必要があるので、RFP(提案依頼書)に記載して制作会社からの提案を促しましょう。

2.性能・拡張性

ホームページのパフォーマンスや機能の拡張性に関する要件です。

具体的には
「最大どのくらいの瞬間アクセスに耐えることができるサイトとするか」
「ホームページの表示スピードはどのくらいまでを許容するか」
といったことを定義します。

性能・拡張性の要件によってサーバー等インフラ構成が決まっていくことでしょう。ここはホームページの運用面だけでなく、実際にサイトを閲覧するユーザーの利便性にもつながってくる内容になるため、しっかりと定義すべきです。

3.運用・保守性

ホームページを運用する方法を決めていきます。

「ホームページに搭載している機能(CMSなど)のバージョン更新頻度、方法はどうするか」
「サーバーの監視はどのような体制で行うか(無人/有人監視)」
「日々の連絡窓口、制作運用の座組はどうするか」
といったことを定義します。

将来を見据えて事前にこの点を決めておくことで、ホームページ公開後もスムーズにサイトの運用を行うことができます。

4.移行性

新しくホームページを制作する際には不要な項目となりますが、既存のサイトがあり新サイトにリニューアルする場合は必要になります。

既存サイトにある情報を新しいサイトにどこまで移行するのか、その方法はどうするのかを定義します。

既存サイトを数年間運用していた場合、全ての情報を新サイトに移行するとなると膨大なデータ量になります。方法も人力は現実的ではなくシステムを連携して移行するなど検討する必要があり、場合によっては移行コストが跳ね上がることもしばしばあります。なので、移行の必要性や対象範囲までRFP(提案依頼書)作成の段階から決めておくとよいでしょう。

5.セキュリティ

ホームページのセキュリティをどのくらいの強度で、どの範囲まで対応するかを定義します。セキュリティ要件によっては、公開前にWAFなどのテストを実施する必要があるため、事前に要件を確認できるとベストです。

企業のセキュリティレベルで利用できないツール(オープンソース系のCMSなど)もあります。RFP(提案依頼書)を作成する際は、事前に社内のシステム部門等に確認を取っておくとよいでしょう。

成果物

最終的に納品してもらいたいものを定義します。ホームページ本体だけでなく、下記のようなものも成果物としてRFP(提案依頼書)に記載しましょう。

・デザインデータ

・コンテンツ(画像、動画、フォントなど)

・品質保証書(テストを実施した場合)

・仕様書

・マニュアル

デザインデータなどを納品してもらう場合、制作会社によっては納品用データを作成するために別途費用が発生する場合があります。依頼側と制作会社の成果物に関する認識の齟齬が発生しないようにしっかりと記載しましょう。

プロジェクトの予算、スケジュール

どのくらいの予算を確保できているのか、いつまでにサイトを公開したいのかを記載しましょう。予算によって制作会社からの提案内容が変わってきますし、公開までのスケジュールについても、要件に対して現実的なものかどうかを判断する上で重要な情報となります。

予算についてはイニシャルコストのみなのか、ランニングコストを含めた年間の費用なのかで認識の齟齬が生まれやすいので、予算が分かれている場合はその旨もきちんと記載すると良いと思います。

各種情報

最後に、提案にあたっての基本情報や注意事項を記載しましょう。具体的には以下の情報を記載します。

・提案締切り日時、提出場所

・選考スケジュール

・提案方法、提案場所

・契約情報(事前に秘密保持契約書の締結が必要な場合など)

まとめ

ざっとRFP(提案依頼書)に記載すべき内容を挙げてみましたが、いかがでしょうか?ホームページの制作を依頼しようと考えている方にとって一助になれば幸いです。

色々と書いてきましたが、正直WEB業界の人ではないと記載が難しい箇所もあると思います。完璧なRFP(提案依頼書)を作ろうと思わず、できるところから情報を盛り込んでいき、わからないところは制作会社からの提案を促す形でも問題ないと思います。

カンナートではホームページ制作に関するご相談はもちろん、業界問わず幅広い企業のサイト制作を行ってきたノウハウをもとに、適切なRFP(提案依頼書)の作成についてもお手伝いすることが可能です。
具体的な依頼ではないご相談も大歓迎ですので、お気軽にご連絡ください。

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